電炉を使った鉄鋼メーカーで、青森県八戸市に主力工場を置く東京鉄鋼

電炉を使った鉄鋼メーカーで、青森県八戸市に主力工場を置く東京鉄鋼(栃木県小山市、吉原毎文社長)は28日、伊藤製鉄所(東京、伊藤壽健社長)と経営統合に向けた協議を始めることで合意したと発表した。両社は建築向けの鉄鋼製品を製造しているが、需要減少やコスト高などで事業環境が厳しいことを踏まえ、統合による基盤強化を図る考え。八戸工場などの効率的な運営で、生産性や競争力の向上を目指す。今後は統合検討委員会を設置し、具体的な協議を進める方針だ。

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 人口減少などに伴い、鉄鋼需要は将来的な伸展が厳しい見通しで、さらなる業界再編の動きが浮上する可能性がある。

 両社は同日、統合に関する覚書を締結。八戸工場への影響について、東京鉄鋼の担当者は取材に「協議の状況によるが、これまで通り東京鉄鋼の主力工場としての位置付けは変わらない」との認識を示した。

 東京鉄鋼は小山と八戸に、伊藤製鉄所は茨城県つくばと宮城県石巻の各市に工場を有する。統合効果として▽生産体制の最適化による生産、輸送効率の向上▽技術やノウハウの共有による競争力向上▽製造や調達のコスト削減▽営業、開発力の強化―を見込む。

 統合検討委は具体的な統合方法や比率、組織体制、今後の予定などを協議。最終契約の締結は、両社の株主総会での承認や関係当局の許認可を得られることが条件としている。

 東京で記者会見した東京鉄鋼の柴田隆夫取締役上席執行役員は「経営環境は厳しさを増しており、両社の関係を一層発展させることが必要だ」と強調した。

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 両社は鉄筋コンクリートの建築物に使う鉄筋棒鋼の製造、販売が主力事業。近年は建設分野での需要減や人手不足による着工の遅れなどで出荷量が減少傾向にあり、電力や資材といった各種コストの高騰も生産活動に響いていたという。

 2017年3月期の売上高は、東京鉄鋼が連結で435億5200万円、伊藤製鉄所が単体で216億6100万円。両社は05年、東北地方での共同販売会社「東北デーバー・スチール」(仙台市)を設立するなど協力関係にある。